受け入れ上手なカンボジア人女性から「ほんとうに優しさ」を学ぶ

わたしらしく生きる

あなたがもし今、「心が寂しいな」「やりたいことが実現していない」「自分の中無価値観を感じる」
そんな風に思うことがあるならば、ぜひカンボジアに出かけてみることをおススメします。
そこに出会う女性の逞しさと優しさに触れると、ほっと、心がほころんで大きなきっかけを見つけるかもしれません。

「もの心ついた時からずっとジュエリーをつくっていた」
そう語るのは Phich Chansotheara(レアさん、と地元の人は彼女のことを呼んでいます)

年齢こそ、伺わなかったけれど
身長150CMもない小柄な体からはとても暖かいエネルギーが伝わってくる女性です。

レアさんはカンボジアの地方出身者で、生まれ育った環境もあり10代で結婚。
若くして小さなジュエリー製作の下請け工場を営むご主人と一緒になりました。
それから約30年、ご主人の仕事を見よう見まねで学び、独自に仕事を習得してきたと話します。
その手仕事のすばらしさと終始笑顔の秘密を伺いました。

そういうものよ

—「ジュエリーつくり」を30年、続けてこられたということですが具体的にはどのようなお仕事ですか?

【写真】優しい横顔のレアさん。時折見せる表情がステキです

Phich(レア):わたしが担当するのはジュエリーデザインの部分ですね。
主人が実際に彫金をしたり、石留をするんですよ。
わたしはそのお客様のご要望をお伺しながら、蜜蝋を使って手先でデザインをするんですよ。
はじめは全く何をやっているのかわからなくてね(笑)
でも、だれか教えてくれるわけじゃないから、人の手仕事を見ながら、
指先で学んだというかんじですよ。

ほらみて、
(と、いいながら、子犬のキーホルダーや、王冠のデザインリングを見せてくれる)
       
カンボジアではね、ジュエリーはカスタマイズするの。
ほら、宝飾は信用性の問題でしょう。お客さまが自分で用意した宝石を、自分で仕立てていくのが一番安心するのが従来からある流れでした。

見よう見まねの仕事もね、時間とともになんでもできるようになるものなんですよ。
そういうものね。

でもね、昔はうちの工場だけでも社員さん含めて6人いたんですけど、
今は私と主人だけ。
この仕事も私たちの代でおしまいなの。でも、そういうものね。

変わっていく街並みと今ある幸せ

カンボジアの首都であるプノンペンはこの1-2年の間にその姿を変えていきました。
高層ビルが立ち並び、かつての長閑な風景は過去のものになろうとしています。
レアさんの工場も市外にあったそうですが、人とモノの流れが変わったこと受けて市内に移したそうです。


【写真】プノンペン市内の街並み

Phich(レア):今は、仕事がある時に自宅兼の工房で作業をしています。
うちは、市内の工房さんから請け負い仕事もたくさんあるし、マイペースだけれども
ずっとこつこつ仕事をしてきたからこそ、今もある程度
安定して生活できているんでしょうね。

—ご主人と2人3脚で切り盛りした工場をお子さんに引き継いでもらいたい気持ちはありますか?

Phich(レア):どうかしらね。
その気持ちが無いと言ったらウソだけれど、娘たちには苦労させたくないと
いうのもあるし、時代は変わっているから
なんとかなるものですよ、ずっとそう思って働いてきて、
十分幸せに生きてきました。

(「ほら、座りなさい」、と指さし、
「これ食べなさい」とテーブルにあるご飯を勧めてくれる)
現にね、娘たちには仕事は教えてないから、引き継ぎようがないわね!(笑)

ご飯をたべなさい

小柄な体からあふれるばかりの女性性と柔らかさがあるレアさん。
ー現代の女性は仕事に子育てに、キャリアに、と思い悩むことシーンも多々ありますが、何かメッセージはありますか?


【写真】カンボジアのの料理(クメール料理)をふるまってくれました

Phich(レア):ご飯をしっかりたべることですよ。
食べること、できたら家族で食べること。
それだけよ。(笑顔でうなづく)

インタビューしつつ、涙目になったのはわたしだけではないはず。
「難しく考えない、与えられた仕事を一生懸命すること」
明日はわからないけれど、きっと良いとおもっていることを、言葉ではなくその場の空気で伝えて頂いたようでした。
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